PsychoPy Builderで作る心理学実験 2nd Edition

はじめに

2014年9月に「PsychoPy Builderで作る心理学実験」の初版を公開してから約1年が過ぎました。その間にPsychoPyはさらにバージョンアップを重ね、初版の記述が不適切となってしまった点がいくつも出てきました。最大の変化はメニューやダイアログの日本語化ですが、それよりもむしろ「○○はバグがあって機能しない」とか「○○は実装されていない」といった記述が当てはまらなくなった点が放置されているのが問題と考えて、日本語環境での多くのバグが修正された1.82.02のリリースを機に改訂することにしました。十分な時間が確保できず、改訂の結果、作業の流れが不自然になってしまった部分もありますが、現行の1.82.02から見て明らか不適切な記述は排除することが出来たと考えています。主な変更点は以下の通りです。9章の条件式によるコンポーネントの開始、終了の解説など、ご意見をいただいている点はいろいろあるのですが、時間的な事情により今回は加筆を見送りました。

  • 1.79.01および1.80.00に固有のバグの話題を削除しました。(全般)
  • メニューやダイアログの日本語化に対応し、スクリーンショットを更新しました。(全般)
  • 設定ウィザードとロケールについての解説を追加しました。(1章)
  • degFlat、degFlatPos、ブレンドモードに関する解説を追加しました。(2章)
  • 時間計測の精度について補足しました。(3章)
  • Loopの「使用する行」と「試行を繰り返す」に関する解説を追加しました。(4章)
  • RatingScaleコンポーネントの解説とループに属さないルーチンの保存に関する記述を更新しました。複数行にわたる文字列の入力について補足しました。(6章)
  • Mouseコンポーネントの解説を更新し、マウスカーソルの位置を設定する方法の解説を追加しました。(8章)
  • Movieコンポーネントのバックエンドについての解説を追加しました。(9章)
  • 予約語一覧を更新し、ログファイルおよびPsychoPy設定ダイアログについての解説を追加しました。(付録)

本書の実験で使用している画像ファイルや実験ファイルは、筆者のwebページ(http://www.s12600.net/psy/python/ppb/)でダウンロードできますのでご利用ください。誤字や内容の誤りの指摘、その他内容についての要望などございましたら、十河までご連絡いただけましたら幸いです。

2015年9月25日 十河 宏行

2016年8月にPsychoPy 1.84.0がリリースされました。Builderの操作について、以下の2点が大きく変化しましたので対応する部分の記述をアップデートしました。

  • Staticコンポーネントが標準で配置されなくなりました。(2章など)
  • ルーチン名が変更できるようになりました。(3章)

あと、HTMLで表示したときにマイナス記号が非常に判別しにくかったため、HTML表示用のフォントを変更しました。引き続き、誤字や内容の誤りの指摘、その他内容についての要望などございましたら、十河までご連絡いただけましたら幸いです。

2016年11月09日 十河 宏行